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インタビュー

2018.12.12

スペシャルインタビュー【vol.7③】 元 プロサッカー選手 中西 哲生さん

アスリートjob インタビュー vol.7
元 プロサッカー選手(スポーツジャーナリスト)
中西 哲生さんNAKANISHI TETSUO

アスリートJob
スペシャルインタビュー

アスリートJobスペシャルインタビューとして、元プロサッカー選手の中西哲生さんにお話をお聞きしました。現在は、スポーツジャーナリストやMCとして、テレビやラジオでも活躍されている傍ら、横浜F・マリノスの久保健英選手やレアル・マドリードU15の中井卓大選手へのパーソナル指導を継続中。自身の経験も振り返り、アスリートの力を引き出すために必要なこと、そして現役引退後を見据えたデュアルキャリアの重要性も語っていただきました。アスリートJobでしか聞けない、大変貴重なお話を3回に分けてご紹介します。

●経歴● 1969年 愛知県名古屋市出身。
1992年 同志社大学経済学部卒業。
1992年 名古屋グランパスエイトに所属。
1997年 川崎フロンターレに所属。キャプテンを務め、2000年にJ2初優勝、J1昇格を果たす。2000年末をもって現役を引退。
2008年 財団法人(現:公益財団法人)日本サッカー協会特任理事に就任(現在は参与)。
【現職】川崎フロンターレ クラブ特命大使、島根県出雲市 出雲観光大使

アスリートJob’s EYE!

ズバリ言います!これほどまでに奥深く、かつ科学的で、経験値に裏付けされた、「アスリート学」とも言えるような内容は聞いたことが無い。それほど内容が濃いし、深遠である。同時に、これほどビジネスにも活かせる情報はそう無い。ビジネスパーソンとして成長するには、「自らの決定の数に左右される」と言われるが、まさにスポーツと同じ。言われるままに、受け身で仕事をすると育たないのは、すでにスポーツの歴史にて証明されている。自分で決定し、能動的に動くことの大切さ、「TAKE」の前に「GIVE」の大切さ、「WANT・CAN」の前に「WILL・MUST」の大切さを、スポーツの可能性の面から中西さんには教えて頂いた。アスリートだけではなく、ビジネスリーダーや経営者にも、是非一度は読んで欲しい。

【いよいよ、スポーツ業界を変える時がきた】

スポーツ・教育を変えるための力、それが「言語化する力」。
昨今のスポーツ界もいろいろあるようですが、一歩引いて見ることも大事だと思います。各々の業界やスポーツにも事情があり、もちろんサッカー界にも良いところもありますし問題もあります。それは、日本の根本的な構造の問題だと思います。このことは、スポーツ界だけではないはずで、今、たまたまスポーツがフィーチャーされていますけど、スポーツ界から新陳代謝が行われるというのも良いことだと思います。最先端が取り入れられる場所だし、対岸の火事だと思っていたら、自分たちにも起こるということもあるでしょう。サッカーやスポーツの世界にいる自分としては、すべてが変わらなければいけない時期にきたのかなと思います。すべてが科学的であるのは難しいかもしれないけれど、昔の根性論は許される時代ではなくなったということだと思います。スポーツだけではなくて、教育が変わらなくてはいけない段階にきていて、前述のとおり、文字化・言語化できれば、暴力を振るう必要がないのです。指導者が、言葉だけで選手を自分の思うままに動かすことができなければ、それはその人の言語化能力が低いということです。僕も、より物事を言語化していかなければいけないと意識していて、より言語化していくことがいろいろな解決に繋がり、さまざまなことにおいて言語化を追求することで、日本の将来にも大きな可能性があると思っています。そして、他の国よりも表現する言葉が多い日本語であれば、なおさらそれができることでしょう。
物事を表す繊細な表現方法があるはずなのに、それを使わずに言葉足らずで暴力もしくは思考停止に陥って物事を伝えることができないのであれば、日本人が日本語を活かしきれていないということだと思います。やはり、その問題を解決するためには、言語化の力をつけることが重要です。サッカーの解説では、我々が言語化ということを強く言っているので、そのことはだいぶん浸透してきていると思います。野球やサッカーは、早くからテレビ中継されてきた関係で、競争の原理が働いていて、視聴者からもこの解説や実況じゃダメだと指摘されることがある代表的なスポーツです。他のスポーツも競争の原理が働くような解説・実況になるように、また組織自体も新陳代謝するように入れ替えになる原理を作らなければいけない。そのためには、言語化もそうですし、スポーツをより詳細に表していく共通の言語を作ることが必要です。そういう意味では、僕もその一端を担っているわけで、より多様な表現をありとあらゆる場所でしていかなければいけないと思っています。スポーツのことは、社会の一瞬一瞬を切り取ったことに置き換えられる、それがおもしろいことだと思います。サッカーで使われる言葉もいろいろな言葉にも置き換えられていて、例えば、一般の方たちも使ってくれている“キレキレ”や“アグレッシブに”という言葉のように、本来の場所とは違う場所で使われると言葉が成長しておもしろくなっていくことがたくさんあります。さらには、“なんでシュート打たないんだよ。なんでこぼれ球に反応しないんだよ。すごく良いパス出したのに。”など、本来はスポーツのプレーを表す言葉として使われていたのが、いろいろな場面や会話で、様々な意味を持つように使ってもらえるとおもしろいと思い、普段から意識していますし、ある意味普及しています。
このように、日本人は言語に長けているはずで、ボキャブラリーも多いはずです。そのボキャブラリーがあるのに、思考停止に陥って暴力だったり罵倒することに走ってしまって、スポーツ界に活かしきれていないのはもったいない限りです。でも、まだまだ可能性があると思っていますので、指導現場においても、ボキャブラリーがあって言葉に詰まることなく、言語化することによって、選手たちに論理的に教えることができれば良いなと考えています。
アウトプット前提のインプットがスポーツ界を救う。
僕は、気合いで選手はうまくならないと思っていますので、指導の現場で、選手に気合いを求めません。早くシュートを打っても力んでしまっては入らないので、決まる「シュートのフォーム」、そして、決まる「シュートの思考」が大事だということを伝えています。いかに精度を上げるかは、決まる「シュートのフォーム」をただ遂行するのみで、テンポよく、ある一定のリズムですること、にかかっています。気合いではシュートは入りませんから、昔ながらのそういった精神論は、いよいよ終わりに近づいていると思っていて、技術と精神がセットとして、論理的に選手を動かせるような指導者が出てくることを望んでいます。
身体と精神を別物と考えている人がいますが、その2つは必ずセットだと思います。この技術を発揮するための精神がコレだという考え方が大事で、精神の大切さだけわかっていても技術がないとダメですし、その逆であってもうまくはいかないのです。技術・精神・身体がひとつの輪になって、そのレーダーチャートが均等に大きくなっていくような方法を考えていかなければいけません。
僕はそのようなことを常に考え、選手のトレーニングを日々行っていますが、最近実感するのは、誰かのためにアウトプットすると、それがまわりまわって、自分に返ってくるということです。見返りを求めるとそれは台無しですが、昔は100%インプットして極上の1%を絞り出してアウトプットしようと努力をしていましたが、今は逆で、たくさんアウトプットしないと自分が成長しないということがわかりました。だから、アウトプットすればするほど成長する、出し惜しみはダメだということです。そうすると、まわりの人たちが自分のことについて反応してくれて助けてもくれているし、そう思っているならこういう良いこと知ってるよ、とか、その表現だったらこっちの方が良いよ、と言ってくれますから。
今はアウトプットを恐がる時代ではなく、今なら、僕らよりもSNSなどで一般のみなさんの方がアウトプットしているケースもあると思います。アウトプット前提でインプットするので、その数やクオリティが上がれば、インプット前提ではなくアウトプット前提の考え方になります。僕は常にそんなことを考え、日常で比喩表現を探しています。とにかくアウトプットするとインプットのクオリティが確実に上がり、インプットがそのままアウトプットになります。インプットしたままだとダメです。知識があるのにその出し方がわからないことが問題です。前述のとおり、アウトプットの方法次第では、スポーツ界も大きく変わる可能性を秘めているので、自分も、言葉を生業にしている者として、スポーツ界から発信していきたいと思っています。

※インタビュアーは、中西さんの大学時代の後輩でもある弊社 アスリートキャリアコーディネーターの北川浩史が務めさせていただきました。

【人生100年時代を生き抜くために必要なこと】

高い山に登るためには裾の幅を広く。
全く違うものとの間にこそ、新しいおもしろいものが生まれる。
人間は、どんな言葉や説明で伝えるかが重要です。本人の琴線に触れるようにしないといけない。本人には言わないですが、パーソナルレッスンでは、毎回これが最後のレッスンになるかもしれないという思いで教えています。それくらいの気持ち、覚悟でやらないといけないということです。そしてそのためには、普段からありとあらゆることにアンテナを張っています。
例えば、サッカーを教える時の法則は、基本的にサッカーの要素ではなく、楽器を弾く時の姿勢を参考にしています。力まないようにするにはどうしたらいいかを考えた時に、ピアノを弾く時のフォームが意外にスポーツにも通じるものがあると思い、僕も経験がありませんでしたが、トライしました。それは、他の楽器でもヒントを得ることがありますが、第三物の音を奏でるということは、サッカーの場合の第三物であるボールにエネルギーを伝えるということに似ていると思ったのです。ほかにも、良い発声方法は良い姿勢からでないと出すことができなかったり、高い声を出して歌う人はどういう姿勢で声を出しているのかを観察したり、そういったことをトレーニングに取り入れたりしています。
一見サッカーとはかけ離れたところのものと、サッカーとの間に生まれるものが、クリエイティビティとしてはクオリティが高いので、一流の人から情報を得て学ぶことを怠りません。今は、本やインターネット等いろいろな方法でそれらを知ることができるので、ほとんどが独学です。例えば、サッカーとラグビーだと、スポーツという大きなフィールドで考えると少し近い存在です。その距離が近いとそれぞれの山の頂きが低く、でも僕は高い山を登りたいので、かえってかけ離れたところのものを探すことで、全く違う思考を発見することができ、見たことのない景色が見えるものだと思っています。だから、その見たことのない景色を見るためにはやはり高い山に登らなければならなく、高い山に登るためには、幅が広い思考にならなければいけない。相手の背後から見たり、高いところから見たり、また一歩引いて見られるというのが大事だと感じています。
成功する人はできない理由を考えない、言い訳もしない。アスリートは、できる理由を追求してきたはず。だからこそ、成功(結果)するための行動ができる能力がある。
今は、人生100年時代ですし、今後同じ職業で一生終える人はほとんどいなくなると思います。特にスポーツ選手は、間違いなく現役引退後、次の何かに就かなければならないので、アスリートは将来を考えるとやはり不安なことばかりだと思いますが、その道で結果を出してきたアスリートは、キャリアの過程のいろいろな場面で自己決定・判断をしてきたはずなので、絶対に他の人より伸びしろがあります。それに気がつくだけで自分に自信を持てると思いますし、考え方ひとつで好転すると確信しています。
僕は、世の中には2つのパターンの人しかいないと思っています。失敗した時に言い訳を探す人生を生きている人と、うまくいくための方法を探している人です。僕は、もし悩んでいるアスリートがいれば、「あなたも日々の練習や試合の繰り返しの中で、うまくいくため、結果をだすための方法を探してきたのだから、自分が次の仕事を探す時も、今までしてきたことを、違う世界で発揮するだけ。得意なはずだから絶対大丈夫だよ」と伝えてあげたいです。ただし、引退後できるだけ早く結果を出すためには助走が必要です。僕も現役中から研究や仕事をして、いろいろな準備をしてきたつもりでしたが、引退後の最初の給料はひと月に数万円でした。そこから徐々に上がって半年ぐらいでようやく軌道に乗りましたけど、やはり現役時代から助走をしていないとダメですし、どうやって助走をすればいいかわからないのであれば、まわりの人から積極的にアドバイスを受けるべきだと思います。
スポーツ選手に限りませんが、結局、自分が人生を終えるまで輝き続けるためにも、自分のキャリアを形成していく中で、もうひとつ違うキャリアを形成するための準備が必要で、常に2つのキャリアを走らせていく意識が必要だと思っています。今のところ自分は司会者がそれだと思っていますが、司会者とはまた違う次の仕事の準備もしています。ちなみに、僕がアスリートから、「何かの選択に迫られた」と相談されたなら、真っ先に、「大事なのはお金ではない」ということを伝えるでしょう。最低限のお金は必要ですが、それがクリアしているなら、見たことのない景色と会ったことのない人に会える環境に行けるような選択をした方が良いとアドバイスしています。とはいえ、人間の習性でどうしても、その場に留まりたいという恒常性の感情が働いてしまいます。悪いことではないですが、何かを変えたいと思うなら、マインドを強く持たないと変わりません。そして最後に、最終的に決めるのは自分自身です。アドバイスを聞くことは大事なことですが、人のせいにするとどんなこともうまくいかなくなってしまうので、最後は自らで決めることで覚悟を持ち、歩んで欲しいと思います。
それがその後、自分の決めた人生を貫く大きな力になるはずです。

中西 哲生さん、インタビューありがとうございました。

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